顔の片側がピクピクしていませんか?
片側のまぶたや口元が、自分の意思とは関係なくピクピクと動く症状を顔面痙攣(けいれん)といいます。
初めは目の周りだけの軽い痙攣でも、徐々に口元まで広がり、日常生活や仕事に支障をきたすことがあります。
疲労や睡眠不足、ストレスなどで症状が強くなることもありますが、多くは顔面神経が血管に圧迫されることが原因です。
顔面痙攣の原因
脳の血管が顔面神経を圧迫することで起こる病気です。
神経は血管の拍動による刺激を受け続けるため、自分の意思とは関係なく顔の筋肉が繰り返し動いてしまいます。症状は血管に圧迫されている側だけに現れることが特徴です。まれに腫瘍などが原因となることもあります。
診断(MRI検査)
特徴的な片側の顔面の痙攣の症状を呈している患者さんにはMRI検査を行い、顔面神経が脳幹から出る部分に血管が接していることを画像にて確認します。
症状に応じた治療
顔面痙攣は命に関わる病気ではありません。そのため、症状が軽く日常生活に支障がなければ、経過をみることも一つの選択です。
一方で、症状が強くなり、仕事や運転、読書、人と話すことなどに支障が出てきた場合には、治療を検討します。症状の程度や年齢、全身状態、ご本人のご希望に合わせて、適した治療法をご提案します。
薬物療法
内服薬としてクロナゼパム(リボトリール®)やカルバマゼピン(テグレトール®)、ガバペンチン(ガバペン®)などが使用されることがあります。しかし、十分な効果が得られないことも多く、副作用のため継続が難しい場合もあります。そのため、薬だけで症状をコントロールできないケースも少なくありません。
ボツリヌス療法(ボトックス療法)
痙攣している筋肉にボツリヌス製剤を注射し、筋肉の過剰な動きを抑える治療です。比較的負担が少なく、多くの方で症状の改善が期待できます。
一方で、効果は3〜4か月程度で徐々に弱くなるため、症状を抑え続けるには定期的な注射が必要です。根本的に原因を取り除く治療ではありませんが、ご高齢の方や手術が難しい方には有効な選択肢となります。
手術(微小血管減圧術)
顔面痙攣の原因は、血管が顔面神経を圧迫していることです。そのため、圧迫している血管を神経から離す「微小血管減圧術」は、原因そのものを取り除く唯一の根治的な治療法です。
耳の後ろを小さく開頭し、手術用顕微鏡を用いて圧迫している血管を移動・固定します。熟練した術者が行った場合、多くの患者さまで症状の改善が期待できます。ただし、すべての方で完全に治るわけではないため、手術のメリット・デメリットを十分に理解したうえで治療法を選択することが大切です。
ご自身に合った治療をご提案します
症状が軽い場合は経過観察でも問題ありません。
症状が気になる場合はボツリヌス療法、根本的な改善を希望される場合は手術を選択される方が多くいらっしゃいます。
当院では、それぞれの治療法の特徴を丁寧にご説明し、ご本人に合った治療をご提案します。
顔の片側に、電気が走るような痛みはありませんか?
顔の片側に「ビリッ」「ズキッ」と電気が走るような強い痛みが突然起こる場合、三叉神経痛(さんさしんけいつう)という病気の可能性があります。
食事や歯磨き、洗顔などの何気ない動作で激しい痛みが誘発されることがあり、日常生活に大きな支障をきたします。
発症初期は歯の痛みと間違われやすく、歯科で治療を受けても改善せず、脳神経外科を受診される方も少なくありません。
顔面の痛み(三叉神経痛)の原因
多くは、脳の血管が三叉神経を圧迫することで起こります。
血管の拍動によって神経が刺激され続けることで、電撃のような激しい痛みが生じます。症状は通常、顔の左右どちらか一方に現れます。まれに腫瘍などが原因となることもあります。
診断(MRI検査)
MRI検査で原因となる血管や他の病気の有無を確認します。
特徴的な片側の顔面の激痛を呈している患者さんで、MRI検査を行い、三叉神経が脳幹から出て脳槽内を走行している部位で血管が接していることを画像にて確認します。
症状に応じた治療
三叉神経痛は、多くの場合、お薬で症状を抑えることから治療を始めます。薬で十分な効果が得られている間は、そのまま経過をみることも可能です。
一方で、薬が効かなくなったり、副作用で続けられなくなったりした場合には、根本的な治療である手術や、その他の治療を検討します。
薬物療法
治療の第一選択となるのが薬物療法です。特にカルバマゼピン(テグレトール®)は三叉神経痛に高い効果が期待でき、診断の参考になるほど特徴的な反応を示すことがあります。
ただし、長期間使用すると効果が弱くなったり、眠気やふらつき、発疹、肝機能障害などの副作用が現れたりすることがあります。プレガバリン(リリカ®)やミロガバリン(タリージェ®)などが用いられることもあります。
神経ブロック注射
神経に薬剤を注入したり、高周波などを用いて痛みを伝える神経の働きを弱めたりする治療法です。
症状の改善が期待できる場合もありますが、当院では実施しておりません。必要に応じて適切な医療機関をご紹介します。
外科的治療(微小血管減圧術)
三叉神経を圧迫している血管を神経から離すことで、痛みの原因そのものを取り除く治療です。根本的な改善が期待できる唯一の治療法で、多くの患者さまで痛みの消失または大きな改善が期待できます。
耳の後ろを小さく開頭して行う手術で、薬が効かない方や、副作用のため薬を続けられない方に検討されます。
定位放射線治療(ガンマナイフ)
三叉神経に放射線を集中して照射する治療です。身体への負担が少ないため、手術を希望されない方や、全身状態などから手術が難しい方に選択されます。
一定の効果は期待できますが、根治性や症状改善の確実性では、微小血管減圧術に及ばない場合があります。
治療法の選択
薬で症状が十分にコントロールできている場合は、そのまま薬物療法を続けることが一般的です。一方で、薬の効果が不十分な場合や副作用が問題となる場合には、手術を含めた治療をご提案します。
患者さま一人ひとりの症状や生活背景、ご希望を踏まえながら、それぞれの治療法のメリット・デメリットをご説明し、納得いただいたうえで治療方針を決定します。

